遺産相続手続きをスムーズに行い、相続人間での争いごとを起きないように予防するため、また遺言者の遺志を相続人に伝えるためにも、遺言書はとても重要なものです。

遺言書の種類には、大きく分けて2つあります。

その自筆証書遺言と公正証書遺言の違いをご存じですか?

目次

自筆証書遺言とは

簡単に言うと、遺言する本人が自分で作成して残すものです。

メリット
・いつでも自由に書くことができて、作りやすい。
・作成方法が比較的簡単。
・遺言の内容を誰にも知られない。
・費用がほとんどかからない。

デメリット
・形式や内容の不備により、法的に無効になる可能性がある。
・偽造・紛失・盗難のおそれがある。
・保管場所の問題で発見されない場合がある。
・開封時、家庭裁判所の検認手続が必要になる。
・自分で書かなければならない(パソコン不可、但し平成31年1月13日からは財産目録については可)

※検認手続とは

確認する

自筆証書遺言は、見つけても勝手に開封してはいけないのです。偽造変造の心配があるからなのですが、家庭裁判所で検認という手続きを踏まないと、遺言書としての効力がなくなってしまいます。
ですから、家庭裁判所に相続人を呼んで、遺言書の存在とその内容を知らせる手続きが必要になります。

検認しないと5万円以下の過料となりますし、検認をしてもらうまでには申請して1~2ヶ月ほど掛かるというデメリットがあります。

自筆証書遺言書の最低限のルール(法改正をふまえています)

①遺言は、基本的に全て自書しなければならない。
ただし財産目録については、パソコン作成もOKだし、登記事項証明書の写し、通帳の写しでもOKになりました。
財産目録以外の部分は、パソコンで作成、代筆は無効です。
音声やビデオの映像での遺言も無効です。

②日付を入れる事
よく平成○○年○月吉日などと書かれる場合がありますが、作成日が特定できないものは無効です。

③署名・押印する

④加除訂正は決められた方式に従っている事。
書き間違いの訂正や追加する場合は法律が定めた方式を守らないと無効となります。訂正や追加がある場合は全て書き直ししたほうが間違いがありません。

⑤遺言の記載内容は具体的に書き、曖昧な表現を使わない。

⑥封筒に入れて封印する
法的には規定はありませんが改ざんのリスクを避ける為に自筆証書遺言書は封筒に封印して保存しましょう。確実に遺族が発見できるような場所や貸金庫などの安全な場所に保管がいいでしょう。
自筆証書遺言の保管制度を使う場合は封印は必要ありません。

⑦その他


これらのルールをふまえて、さらに注意しなければならない事もあります。

・相続人の遺留分についても配慮する。
・遺言による遺産分割を進める為に、できれば遺言書で遺言執行者を指定しておいた方が手続きがスムーズです。
・遺族の方に法定相続分とは異なる相続分の指定をする場合は遺留分や寄与分等も考慮に入れ、付言事項としてその理由や心情を明らかにして遺言書に付け加える配慮が争いにならない為には重要です。

法務局で遺言書を保管してくれる制度がもうすぐ始まります

民法の相続に関する規定(相続法)の改正に伴って「法務局における遺言書の保管等に関する法律(遺言書保管法)」が成立し、自筆証書遺言の保管制度が新設されることになりました。
施行時期は2020年7月10日ですので、あと少し先ですが、活用されるようになると自筆証書遺言が、今よりも利用しやすくなるかもしれません。

公正証書遺言とは

公証人の面前で、証人の立ち会いのもとに遺言内容を口述したものを筆記してもらうものです。
遺言者は、自身が選んだ証人2人以上を立会人として、公証人の目の前で口述します。
公証人は遺言者が述べた遺言の内容を正確に文章化し、遺言者と証人が確認した後、遺言者、証人、公証人で署名押印すれば完成です。

メリット
・作成を公証人が行うので法的に確実で安心。
・原本を公証人が保管するので紛失や改ざんのおそれがない。
・家庭裁判所の検認が不要。
・読み書きが難しい状態でも、遺言することができる。

デメリット
・作成手続きに時間がかかり、公証人の手数料などの費用もかかる。
・遺言の存在とその内容について、少なくとも公証人と証人には知られる。
・証人の立ち会いが必要となる。
・費用がかかる。

少々の費用はかかりますが、そのデメリットを考えても、安全・確実、さらに残される者の手間を考えると、圧倒的に公正証書遺言をおすすめします。
事実、私も父の公正証書遺言を作成してもらいました。

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